塾関係者におすすめ!中室牧子『「学力」の経済学』主観がいかに曖昧か【オススメの書籍】

中室牧子『「学力」の経済学』は発売が2015年で、当時結構話題になっていました。
書店では平積みしてあったのを覚えています。

塾経営者の端くれなので、こういう本は度々読むようにしています。
参考書も買うけれど、こういう教養になるような本も面白いんですよね。

私は本や人の意見の影響を受けやすいです。
思考の軸は持っているつもりだけど、納得できればすぐに取り入れるようにしています。

この本は、行動の指針になるような内容が多いため、とても勉強になりました。

最近読んだ本の中でも、役に立つ度合いで言ったらピカイチでした。

まず目次からして、教育業界にいる人間ならつい読んでしまいたくなるものばかりです。

こんな感じ

 教育は「一億総評論家」
東大生の親の平均年収は約「1000万円」
ご褒美は子どもの「勉強する楽しさ」を失わせてしまうのか
「お金」は良いご褒美か
子どもはほめて育てるべきなのか
「勉強しなさい」はエネルギーの無駄遣い
教育にはいつ投資すべきか
しつけを受けた人は年収が高い
少人数学級は費用対効果が低い
子どもの貧困を解決するためには
教員を「ご褒美」で釣ることに効果はあるのか
教員免許は「参入障壁」なのか

興味をそそられるものが多い…
私は書店でこの目次を見て、購入を決めました。

教育はみんな主観でやっている

私自身もそうですが、大部分の教育者が自分の経験を軸にして教育を行っています。
様々な生徒を見てきて、その経験に照らして次の生徒の対応を決めているということです。

私はベテランの先生に比べると経験値が少ないです。。
でも、たとえ年齢を重ねたとしても、せいぜい80年の人生で経験した程度では、最良の回答を導き出せないことが多いと思うんですよね。

教育はそういうものだと割り切ることもできますが、それでは「運」の要素が強すぎます。
子供からすればそんなの嫌ですよね。

だから私たち教育業界の人間は、いつも新鮮な空気を取り入れることを考えなければいけません。
様々な研究やデータを蓄積する必要があるということです。

一人の主観による教育から、社会に蓄積された知識を元にした客観的教育に移行することが重要です。
私の身の回りの講師でも「自分isナンバーワン」の人間は、役職にかかわらずいました。

その自信を持った上で、柔軟に取り入れるべきところを探す姿勢が大切だと思います。

教育業界には、天性の才能のみで指導している人間が多いですよね。

研究論文の個人が熟読するのは困難

客観的視点を手に入れると言っても、膨大な研究論文を入手し熟読するのは困難です。
統計学は海外の論文が多いため、翻訳まで必要ですからね。

そういう時に、日本の優秀な学者がわかりやすくまとめてくれていると助かります。
それが『「学力」の経済学』という本でした。

私のように、現場に立っている人間は、いつも本ばかり読んでいるわけにはいきません。
そりゃ大変熱心で優秀な人間はそういうこともできるのかもしれませんが、普通は難しいです。
社会には、研究してまとめる人が必要なんですよね。
こういう書籍は大変ありがたいです。

大切なことは瞬間の教育をしないこと

教育にはタイミングが大切で、瞬間を見逃さない力は重要だと思います。
しかし、指導が刹那的な教員も珍しくありません。

その場その場の感情で指示したり、後になって、あの時こういったのには理由があったなんて、言い訳めいた帳尻合わせをしたり。
そうなると、生徒が混乱してしまいます。

いつも自分の教育を俯瞰してみて、初めてタイミングを見極められるようになると思います。
そういう意味でも、普段からデータを重視する姿勢は大切と言えるでしょう。

しっかりと方針を決めておけば迷うこともないです。
それが軸をブラさないということかもしれませんね。

私は個人塾をやっている立場なので、この事をいつも心に留めておきたいと思います。

情報のまとめには思想が介在する危険性がある

先ほど、教育に関する研究を優秀な学者にまとめてもらえると大変助かると書きました。
しかし、情報のまとめには危険もあります。

それは、情報をまとめた人間の主観が入ってしまう可能性があるということです。
様々な研究から、自分の主張と合うものだけを抜粋してくるという不誠実も可能なんですよね。

だから、なんでもかんでも信じ切ってはいけません。
最後に自分で判断するというステップは必ず踏まないと。

その上で、自分の知識・教養として行使していく力が必要だと思います。

そして、私はこれこそが勉強の本質のように感じます。
勉強は、与えられたものを覚え、知恵として行使するということだと思います。
その過程で、原理を疑う必要性も出てくるでしょう。

原理を無視したら、覚えることはできても行使することはできない。

『「学力」の経済学』では思想の押し付けが全くなかったんですよね。
この本を気持ち良く読めた要因だと思います。

まとめ

『「学力」の経済学』はとても勉強になる本でした!

どんどん本も読んで勉強していこうと思います。
ではまた!