塾が「ブラック企業」になってしまう5つの理由と私が考える解決策【個人塾経営にっき】

大学生アルバイトの代名詞と言えるほど人気の学習塾講師。
高校生のとき塾に通っていた生徒が、翌年からその塾のアルバイトをやるなんてこともあるくらいです。

一方で、休日がなかったり、残業代が出なかったりと、ブラック企業の代名詞ともなっています。

私が見聞きした範囲においては、ほぼ全ての大手学習塾がこのような状態です。

もちろん、好き好んでブラック企業化するはずがありません。
この学習塾ブラック化には業界全体に根付く要因があるのです。

今日はそれをまとめて見たいと思います。

学習塾がブラック化する理由

新規参入のハードルが低く差別化が難しい

学習塾というのは、新規参入のハードルが恐ろしく低いです。
だって、仕入れがないんですから、極論言えば「紙・ペン・人」でできちゃいます。

新規参入のハードルが低いということは、ライバルが多いということです。
そのような業界が他社と差をつけるため、ブラック化するというのはよくあることです。
ライバル店と明確な差別化要素を作れていない場合、賃金を安くして働かせるということで帳尻を合わせようとします。

しかし、塾というのは差別化することが難しい業態でもあります。
なぜなら、受験という枠にとらわれており、終着点が同じであることが多いためです。

差別化できても、せいぜい中学受験専門とか、国語塾とか数学塾というくらいです。

結局みんなが同じ土俵の中で戦うことになりがちであるため、ブラック化した方が強いという状態になりやすいのです。

「授業をしない上司」の存在

学習塾では、教えるのに「先生」が必要です。

個別塾は生徒2人に対して先生1人であることが多いです。
つまりこれは、顧客2人に対して人件費が1人分かかるということです。

ラーメン屋さんとかを想像してください。
料理人1人に対してお客2人なんてありえません。

例えば生徒が1コマの授業に3500円払っているとして、2人で7000円です。
1人3500円のコース料理で、料理人つきっきりのサービスは受けられないですよね?

でも百歩譲って、これがそのまま利益になるならできなくもないです。
1コマの授業で大体7000円の売り上げですから、規模によっては大きな利益になる可能性もあります。

ただ、企業が成長すると、必ず「上司」が現れます。
これが厄介で、「授業をしない人」にも給料を払わなければならなくなるんです。
実際に稼いでいるわけではない人の分も、授業をした人が負担している形です。

つまり、生徒2人に対して人件費1人だと思っていたものが、大手塾になると2人にも3人にもなるんです。

もちろん、間接管理をする上司も必要なのですが、この数が膨張すると大変で、成長が止まった時に降格できないから塾全体の負担のが増してしまうんです。

入れ替わりの激しい職場環境

塾のアルバイトは必ずやめていきます。
大学生の間しか、アルバイトはできません。

しかも、優秀な大学生アルバイトほど、めでたくも確実に巣立っていきます。
良いことなのですが、どんどん人間が入れ替わっていくため、運営ノウハウの蓄積ができないという問題があります。
授業のスキルに関しても同様です。
生徒をしっかりと教えられるようになってきた頃に、その大学生は卒業してしまうのです。

そのため、毎年研修をしなければいけません。
研修を受ける方は1回目でも、研修する方は毎年同じことを教えなければいけません。
これも大きな負担になっています。

また、大学生アルバイトの中には、ノウハウを後輩に伝えるため奮闘している者も多くいます。
しかし、こういう意気込みは大変残念なことに、アルバイト同士でブラック化を進めていくという結果に繋がるんです。
アルバイトがアルバイトに無給で時間を割いてしまうと、真面目で誠実な大学生ほどドツボにハマってしまいます。

アルバイトがアルバイトの首を絞めていく構図は、どのブラックアルバイトでも同じかもしれませんね。

子供のためという殺し文句

ブラックバイトが辛ければ、やめれば良いんです。

ただ、教育という聖域には「子供のために」という魔法の言葉が存在します。
もともと子供を教えることが好きで始めたアルバイト大学生や社員の方達ですから、この言葉に強く縛られてしまいます。

私がやめたらあの子がかわいそう…
他のアルバイトの人たちに迷惑がかかる…

みたいな感じです。

責任感が強いほどこの呪縛が強くなります。

企業側も、「生徒のために」という文句を多用します。
もっと頑張らなきゃ精神と、ブラック労働している人は偉い的な風習が生まれるのはこのためです。

塾が膨張した時期の不良人材

世間に子供が多くいて、お受験戦争の真っ只中に成長したのが、今の大手塾と呼ばれる学習塾です。
それこそ、一つの校舎に1000人以上の生徒が通っているなんていう時代も学習塾業界にはあったんです。
(私が実際に体験したわけではないですが)

そんな時、企業は「成長」ではなく「膨張」をしていることが多いものです。
地力なく「膨張」をすると、人材をどんどん入れていくことになります。
それこそバブルのように、誰でも雇うモードに入っていきます。

そんな時に雇われた人材の中には、とんでもなくダメな人材もいます。

授業をやるとクレームになってしまう、かといって営業もできない。
でも一度雇ったからには簡単にやめさせられない。

そういう人の給料も払わなければいけません。
しかも、長年働いている分だけ給料が高いです。

ちゃんと働いている人間にしわ寄せが来ることになります。

塾のブラック労働解決策

ブラック企業をしっかり辞める

「生徒のため」っていう言葉に縛られてはいけません。
あなたが幸せじゃないのにどうやって子供を幸せにするの?と真剣に問いかけたいです。

本当に「生徒のため」なら、私生活を充実させた上で生徒に接してあげないとダメです。
まずそれができてから、余力で塾講師をやればいいんです。

「子供のため」っていう言葉に逃げて、いつまでも現状を変えられないのでは企業の思う壺です。
やめてみると、「なんだこんなもんか」ってくらいなもんですよ。
誰も気に留めません。

そうやって、職員が辞めていけば、ブラック化は自然となくなっていくはずです。

映像授業を主体にする

映像授業は、現在の塾業界の慢性的なブラック状態を打破する強いテクノロジーです。
例えば、スタディサプリの先生たちは本当に授業がうまいですよ。

僕自身もめちゃめちゃ参考にしています。


そもそも同じ単元の授業を、いろんな場所で、いろんな時間に、いろんな人がやるから人件費がかかりまくるんです。
だったら、講師は授業をしっかり受けているかの確認、つまりメンタル部分を支える役割に回ればいいんです。

これをやると、塾講師は減ると思います。
本物しか生き残れない形になります。

「本当に生徒のやる気を引き出せる人」か「本当に授業がうまい人」しか残れなくなるわけですから。
もちろん営業もありますが、「授業」にリソースをかけなくて良いので、ブラック化はしません。

人が教える部分をなくす必要はありません。
足りない部分や生徒のつまずきに合わせて教えればいいです。
ただ、今かかっているほどの時間はかからないはずです。

掛け持ちをできるようにする

今の大手塾って副業禁止なんです。
塾講師の仕事を大雑把に分けると「授業」「営業」「運営」になります。
得意な分野って人それぞれ絶対に違います。

それなのに、全てをやらせようとするからブラック化するわけです。

「授業」が得意なら、いろんなところで授業をやって「授業」でお金を稼げばいい。
「営業」が得意なら、入塾人数などに応じて報酬を与えればいい。
「運営」が得意なら、一つの教室にいて、上記の「授業」「運営」をまとめればいい。

得意なものに注力できる形にすればいいわけです。

こんな感じ?
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不満を口に出す人間は子供だ

人は自由なのに、どうしてブラックな職場にずっといる必要があるのだろうと思います。

私は不満があったら、「現状に耐えるか」「自分が変わるか」「相手を変えるか」「環境を変えるか」のどれかしか解決方法はないと思います。
そのどれも選べずに、不満だけを言っているのは、小学生や中学生と変わりません。

ブラック企業なんて、本当はありえないんです。
だって、辛かったら職員が辞めちゃいますから。

なのに、なぜか辞めない。
ブラックじゃないと自分で思っているならいいですけど、ブラックだと思いながらも辞めない。
結局、ブラック企業を作っているのは、社長ではなくそこの職員たちなんです。

まとめ

と、いろいろと書きました!
「塾」という業態が、どうやったら健全な形で成長できるのかを考えた結果、こんな感じのブログになりました。

塾業界全体として「成長できる健全化」を進めない限り、未来はありません。

映像授業を取り入れる、ICTの活用などで業務の最適化を図るなど、「新しいもの」を取り入れずして改善は難しいと思います。



私自身も田舎から、それを進めていきたいと思っています。

ではまた!